まいぷれ編集者でもあるしおりによる、エッセイ集。
以前住んでいたアメリカでのさまざまな出来事をエッセイにして皆様にお伝えします。
日本との文化の違いが、おもしろいです。
…庭で?北欧式?

 
何もかにもが初体験だった。何か手土産を持って行くのかしら?どんな服を着ていったらいいのかしら。
『イエスサンキュー』と言ってしまった手前約束を破るわけにはいくまい。

ええいとばかり、自分の価値観でワインを片手にちょっとおめかし目の服で出かけていった。
 

…スティッグは、スウェーデンからの移民で90歳近くの母親と二人暮し。
当日は近所の住民が何人か来ていてクリスマスイルミネーションの施された庭が所狭しとなっていた。パーティーとはいうものの出てきた物は…
ホットチョコレートとジンジャーブレッドのみだった。

 集まった人々は、普段着で家で作ったクッキーなんかを持参している人もちらほら。ほとんどの人は、手ぶらだったようだ。
…こんなパーティーって素敵じゃない?そこにあるものは、美しいクリスマスライト厳かな音楽、そして人々の語らい。ただ聖夜の楽しみを静かにシェア−している。
 人の集まりに物はさほど重要じゃないんだと教えられた。でも、北欧式でないパーティーは、どうなのだか油断はできませんよ。概して個人のパーティーというのはみな質素なようです。

近所のおばあちゃんのお誕生日のお祝いは、招待状に
『高齢なため皆さんにお祝いしてもらいたいのでお顔を見せてください。』
ギフトの心配は、ご無用にねがいます。とも書かれてあった。

こちらは立食のパーティーで、ピザとワインだけのものだった。でもおばあちゃんのうれしそうな顔は、いまだに忘れられない。お金を使わずとも心を動かせるって
これぞお祝いの心意気っていうものじゃないですか。日本人はなかなかこういう集まりに参加してくれないけど来てくれて有り難う。
…なんて言葉も頂いた。こんな集まりには、でるべし、出るべし!


…ホーソンドライブをトーランス方面に向う下り坂の交差点でのこと…

信号が赤になったので止めようとした矢先、ふと反対車線を走る知人に気を取られ、前に停車中の車に『ゴツン』とぶつけてしまった!

しまった!しまった!ど〜しよう!!!BMVにオカマほっちゃったよ!
…とにかく出て行って謝らなければ。保険会社の書類は、どこだっけ?
じっとりと冷や汗がにじみ出てくるのを感じる。
ギアをパーキングに入れ、外に出ようとしたその時、信号が青に変わった。

 ぶつけた車を運転していたブロンドの女性は窓から少し振り返り、片手を上げて走り去ってしまうではないか。
…しばしボーゼンとしていたが、後ろの車のクラクションで我に返った。

『何事もなかったかのように車を走らせ、はっきり言ってラッキーだったのだろうか?
…それとも、ナンバーで所有者を探して後で請求が来たりするのでは?』

などどチキンな妄想にとらわれながら友人宅に着いて、開口一番この出来事を話した。と・・・・
『バンパーでしょ?ノープロブレムよ!』とのこと。いちいち気にしないのだそうだバンパーくらいでは。そういえば縦列駐車の場面で後ろに前にぶつけながら割り込んでいる車を見かけた事があったっけ。
…心の中のもやもやがスーッと晴れ快晴になったのは言うまでもない。

アメリカが、太っ腹だと感じたことのひとつを紹介しましょう。

…アメリカには、アダルトスクールといって、各地域ごとに大人のための学校があります。日本のカルチャースクールのようにダンスや、絵画、お料理などのようなクラスのひとつにこのAMERICANIZATIONとうクラスがあったので参加してみたんです。

授業料は、なんと無料なんです!テキスト代だけでした。
3ヶ月程が1タームとなっており、週2回120分の授業。先生は、元小学校の先生をしていてリタイアなさったミセズモスリー。(ステラおばさんのように頭の上のほうにおだんごをゆってふくよかなまさしくアングロサクソン系という感じのお方。)

授業内容としては、会話が主となるのですが、こんなときどうするみたいなQ&Aがたいそう役に立った。

“TV番組で、話題を増やしたい人はMorning Americaを是非御覧なさい。”

とミセズモスリーは、強調し、毎回授業の出だし15分は、その番組を見せられて、内容について先生が質問し、ヒアリングの試しをするのだ。

アラバマの雪かきについてだったり、アラスカの鮭つりについての話題だったり。
自然がテーマの番組だが、半年もこの授業を受けているうちにこの番組のキャスターが話す事だけは、すんなりと頭の中にはいってきたのだ。
左脳を使わずに右脳だけで解釈するように・・・慣れとはすごいものです。

生徒は、メキシコなどのヒスパニック系が6割程度日本、韓国のアジア系が3割、あとはロシアだったり、アラブだったり。

年齢層は、若者が多かったが主婦層や、おじいちゃんもちらほらという感じだった。
これらの生徒のする質問タイムが実におもしろかった。

水道の水漏れを直すためにはどこに連絡するのか?
ハロウィーンの日は、子供達にどう接すればよいのか?
宅配ピザの配達人にもチップをあげるのか?
ただいま〜ってなんて言うの?

などなどの質問。あなたはわかりますか?
実際に住んでみないと判らない事がたくさんあります。生徒達で話し合った挙句先生が出した答えは…

水道の水漏れを直すためにはどこに連絡するのか?
PLUMBER。まず見積もりをしてもらいましょう。

ハロウィーンの日は、子供達にどう接すればよいのか?
御菓子又は小銭をあげる(50セント程度)煩わしいと思う人は、外出しちゃうこと。

ハロウィーンは、10月末にあるかぼちゃ祭りではありませんが、先祖の魂を弔うのが目的の行事なのですが(お盆のようなもの)、子供達が仮装をし、『Trick or Treat?』と言って各家を回って歩くのです。結構たくさん来て、初めはかわいいのでお菓子とかあげてたんだけど、夜も遅くなると、高校生とかが来て、居留守を決め込むと生卵を壁にぶつけられてたいへんでした。

宅配ピザの配達人にもチップをあげるのか?
YES。最低10%とのことです。チップをあげる前にもう手を出しているのが普通。
(最近では、チップも値上がりしてレストランなどは15〜20%)だそうです。

ただいま〜ってなんて言うの?
I'm home!です!(なかなかでてこないよね。私は家です…じゃないよ)

学校では、不思議な事にアジア人同士が仲良くなる。やはりメンタリティーに共通点があるからなのかな?韓国人の夫人、台湾人の女の子そして中国本土からきた35歳の女性Jeanと仲良くなった。
 特にJEANとは、生涯の友人となった。お国で雑誌記者をしていた彼女は、化粧の仕方も車の運転もわからないでアメリカに来て、それからの変わりようがかなりドラマチックだった。

 JEANの話は次回として・・・なんと大金持ちになった彼女は、今でも庭にねぎとかを栽培して近所からクレームが相次いでいるらしい。その辺のことお話しましょうね。


JEANは、中国大陸の西安からやって来た。私が渡米した同時期にボストンバックひとつでやって来た。
カリフォルニアとはいえ、冬は結構寒い日がある。そして暖かい日も。でもJEANは、いつもうすピンク色のセーターとジーパンで学校にやって来る。とても寒い日は、ふろしきのようなものを頭に巻いてくる。

『GOOD MORNING EVERYONE!』

 と元気一杯に教室に入ってくる彼女は、体中がエネルゲンの塊のようなオーラに包まれている。会話が不慣れだとついつい恥ずかしさで無口になりやすいものだが、彼女は違う。言いたい事を一生懸命言おうとするのだ。
 途中に中国語が入ろうがおかまいなし。あまりの一生懸命さに人々は、根負け(?)し彼女の言わんとすることをああか?こうか?とたずねながらJEANのペースにはまっていくのだ。(つくづく思う。こうじゃないと語学って上達しないんだよなぁ)

 知り合いの教会に間借りしている彼女は、学校までバスでやってきては、帰りに中華料理屋でアルバイトをしている。
 中国料理しか食べた事がないという彼女。 ある時、お昼にマクドナルドのハンバーガーを食べる事となった。日本人のわれわれにとってはハンバーガーは、安い部類にはいるのだが、

89セント・・・元(中国の通貨)だとフムフム。高い!高いよ!

これだけあったら、おいしい麺と餃子が食べられる。でも食べてみて、感想はというと。『Chinese foods is no.1』なのだそうだ。

 『すきやき』 なにそれ?『スパゲッティ』なにそれ?
…ましてやフォアグラやティラミスなんて全く未知の世界なのだ。そう思うと日本人ってなんてマルチなのだろうとつくづく思うのである。イタリア料理、フランス、はたまたインドからブラジル料理、タイ料理まで食い尽くしているのだから。
そして、星が何個のレストランがどうのとか言ってるし。 

 学生ビザでやって来た彼女は、アメリカにいられる日数に限りがある。彼女の猛ダッシュは、アメリカに1歩足を踏み入れたときから始まっていた。
友人の友人という細いコネをも利用し、

『アメリカで成功している中国人男性と結婚したい』

と網を張り巡らせたのだ。年は、何歳でもOK。再婚でも問題なし。
 もっとも重要な条件は、アメリカ国籍をもっているというポイントなのだ。中国系教会を発信元とし て情報は広まり、何度か見合いをした。そして彼女が選んだのは、KENという24歳年上のボーイング社の優秀なエンジニアであった。
 その時JEANは、35歳。背が高く、肉付きも程よくあり、どちらかというとがっちりという感じのボーイッシュな女性だ。
 一方KENは、背が小さく細く、声も小さくまさしく対照的なカップルが生まれたのだった。 学究肌のKENは、政治、経済、エンジニアリングに関しては並外れた才能の持ち主であるが、こと女性に関しては全くの晩熟。
結婚してからしばらくは、あまり夢中になりすぎて目の下にくまを作っていたっけ。

中国では、ここ何年も一人っ子政策を実施しており、心情的には、後継ぎとなる男の子をほしがるのだという。出産のお祝いも男女格差がかなりあるようで‥‥アメリカにいながらもJEANは、

『絶対男の子を産んでやる』

が渡米後第2のプロジェクトとなるのである。何をもってそうさせるのか。
夫の体をアルカリ性に保つ事で(Y)染色体が生き残る。ということでKENは、肉を食べさせて貰えなくなったのだ!
来る日も来る日も青菜、白菜という日々。
女のほうは、何を食べても大丈夫!NO PROBLEMよ!とのことで自分では、肉や魚をきっちり食し、10ヵ月後にきっちり予定通り男児が誕生したのだ。
成功者と結婚し、国籍を取得し男の子を設けるという2つのプロジェクトを成功させた彼女の野望は果てしなく続くのである。